ビタミンDは認知機能の劣化を予防

リウマチや膠原病などの関節を痛める病気や、変形性関節症などの加齢性の関節炎に、ビタミンDがその痛みをとり、炎症を軽減してくれる可能性があることがさまざまな研究であきらかになりつつあります。特に免疫機能の乱れによる関節炎である慢性関節リウマチやそれに類似する膠原病はひざや手首や指などの関節炎、股関節炎など痛みが問題となります。

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関節痛を緩和させるビタミンD

痛み止めや関節そのものを保護する成分であるヒアルロン酸やグルコサミンなども痛みの軽減には役立つ場合もありますが、ビタミンDの不足を補うとこうした関節の痛みが改善することが多いとわかってきています。ビタミンDは、免疫の乱れを正常化させるのでアレルギー疾患などの改善に役立ちます。それは自己免疫の乱れを生じる関節の炎症性疾患すべてにもあてはまるのです。この場合は、ビタミンDをほかのさまざまなサプリメントと併用してもいいかもしれません。今は、ひとカプセルで5000IUのビタミンDが補充できる製品も安価に入手できます。花粉症やPM2.5などによるアレルギー症状の緩和に、ビタミンDの補充は欠かせませんが、関節の不健康の解消にもこれが同時に役立つということなのです。ビタミンDの慢性欠乏によって認知機能が低下しやすくなることも判明しています。認知症予防にはビタミンDの補充が有益であるということです。

ビタミンDは全身の代謝の改善にも関与

糖尿病などもビタミンDの補充でいろいろな数値が改善する可能性があると指摘する専門家もいます。まさに全身のバランスをとり、アンチエイジングを達成する健康成分ということになります。コストもかからず、これだけ多方面に有益な成分もめずらしいです。健康への加齢による影響は骨粗鬆超や免疫力の低下などですが、高齢者はビタミンD欠乏症を起こすことで、こうした老化による健康障害となります。高齢者は若い人よりもビタミンDの必要量が多くなるため、サプリで補う必要があります。高齢者ほど、屋外で過ごす時間が減ることがわかっています。これは、活動性の低下や運動機能の低下によるものです。とりわけ冬季は屋内で過ごす時間が増えます。その結果、日光浴の時間が減るため、日光を十分に浴びなくなります。

高齢者はビタミンD欠乏の影響で認知機能も低下

高齢者の場合、自宅に引きこもったり長期療養施設で生活したりすれば、深刻なレベルでビタミンDが不足して骨がもろくなり、骨折したりするのです。骨折した場合も、長期間の入院が必要になり、その結果、さらに日光を十分に浴びなくなる場合もあります。もう一つ問題なのは、たとえ日光を浴びても、高齢者では、皮膚がそれほど多くのビタミンDを形成しなくなることです。元来、食事から摂るビタミンDの量が少なく、日光からも形成しないため、高齢者はビタミンD欠乏になります。その結果、低用量たとえば毎日400単位でビタミンDサプリメントを摂取していても、欠乏症を予防できません。抗加齢医学の見解では、高齢者は現行の推奨栄養所要量や推奨上限量以上のビタミンDが必要です。高齢者の必要量は1日1000~2000IUまたはそれ以上とされているのです。日光浴により、紫外線に当たると、皮膚で合成されるビタミンD前駆体の濃度が2時間で平衡に達します。すると、それ以上はビタミンDが生成しません。日光にあたることでの最大体内生成量は、1日当たり250μg (10,000IU) であることが判明されています。

サプリメントによるビタミンDの補充

ビタミンDの長期にわたる安全摂取量は成人においては250μg (10,000IU)/日です。高カルシウム血症などのビタミンD毒性が認めらるのは、1,000μg (40,000IU)/日以上の摂取です。もし、安全摂取量の10倍にあたる2500μg (100,000IU)/日を摂取すると2ヶ月以内に毒性がでます。このような最新の研究では、毎日5000IUのサプリメントを摂取しても問題はないという結論のようです。2000IUでは、なんら問題はなく、むしろ、最低限の補充になると思われます。ビタミンD欠乏症が高齢者にもたらすのは、骨折、そして肺炎などの感染症です。ビタミンD 欠乏症を予防するのに十分なビタミンDを食品から摂取できる人はほぼいません。中年期以降は、ビタミンDの補充はアンチエイジングのためにも必須なのです。母乳にはごく少量のビタミンDしか含まれていないため、母乳で育てられる乳児が十分に日光を浴びない場合、欠乏症とくる病になるリスクが高くなります。

ビタミンDの欠乏でおこること

ビタミンDの欠乏といえば、昔から骨の問題が知られてきました。骨粗しょう症や骨軟化症、くる病などの背景に、ビタミンDの不足が指摘されてきました。保険診療の医療機関ではこうした疾患にビタミンDの製剤を処方して治療を行っています。しかし、こうした医薬品の場合は、ビタミンD3が肝臓での変化を経て最終的に腎臓で変化してできる、1.25(OH)Dを製剤化しているもの(活性型ビタミンD3)になっています。これだと不用意な継続投与による過剰症の発症のリスクもあり、注意が必要です。これが医療機関の処方するビタミンDよりも、サプリメントのほうがおすすめである理由です。活性型ビタミンDは過剰症を起こしやすいので、活性型ではない市販のサプリが安全なのです。ビタミンDの欠乏により高血圧が悪化したり、乳がん、大腸がんが増加したり、前立腺がんなどのさまざまな癌の増加につながることが指摘されています。また、慢性関節リウマチ、腰痛、膝関節症、頭痛などのいろいろな痛みを悪化させるのもビタミンD欠乏が原因です。免疫のバランスを乱すことが、皮膚炎や花粉症をはじめとするアレルギー疾患、アトピー性皮膚炎、気管支喘息の発症につながることがわかってきていますが、それを予防しうるものがビタミンDなのです。このことからもアンチエイジングと健康増進の両方におおいに貢献するのがビタミンDであるといえるのです。毎日2000IUをサプリメントで摂取するようにすれば、成人では過剰になる心配はありません。栄養専門医の中には5000IUを毎日飲んでも問題なしとする意見もあるようです。

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