輸入木材が今でも日本の建築の主流になっています。輸入木材は安価ですから、コストダウンのためにも使われるのです。日本国内にはこれまで植林された杉やヒノキが多数植えられていますが、それらは半ば放置された状態になっています。その理由は円高とデフレが十五年以上続いたので、国産の木材を切り出して使うと人件費その他でコストが割高になって、海を越えて運んでくるはずの輸入木材のほうが安価になるという皮肉な現状があるからです。最近は円安になってきたのでその流れが変わる可能性もありますが、デフレを速やかに解消していかないと根本的な問題は解決しません。その輸入木材ですが、薬剤で防腐処置をしているので、それがシックハウス症候群の原因になります。
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輸入木材は防腐剤、殺虫剤を吸い込ませている
輸入木材は、防腐剤の煙の中に一定期間、放置して、キクイムシを殺す処理をします。この防虫、防カビ剤が、シックハウス症候群の原因の一つです。輸入木材はすべて薬剤による処理をしています。注文住宅にすることで国産の木材を選択できます。国産の木材は業者によっては薬剤にさらしていないものがあります。そもそも杉やヒノキは本来、防虫効果がとても高いので防虫や防カビは不要です。杉やヒノキの天然成分はいまでも防虫剤の原料になっています。法隆寺などの例をみても数百年ものあいだ、防虫剤もなく木造建築は保たれています。つまり国産の杉やヒノキを使うなら薬剤は必要ないのです。床に使うワックスも天然素材のワックスを選びましょう。
断熱材でもシックハウス症候群がおこる
断熱材の原材料として使用されているロックウールの粉塵を吸い込むことで、気管支喘息を起こすことがあります。これもシックハウス症候群の一種です。建築現場でも断熱材の作業をしているときは作業員は粉塵を吸い込まないように、防塵マスクをしています。今の建築産業の主流は断熱材としては内断熱の方式を使った断熱材です。これの代表がロックウールです。粉塵になり、吸い込んでしまうと、アレルギー反応をおこす場合があります。これを防止するには、断熱材の種類を変えて、断熱方式を変えることです。内断熱に対して、外断熱があります。
外断熱ならシックハウスを軽減できる
この外断熱とは、外壁に近い側に、断熱プレートを張り巡らせて断熱するという方法です。この方式では、外断熱の断熱プレートは、発泡スチロールのようなプラスチックのようなプレートです。それゆえ、ロックウールのように粉塵が出てしまうリスクがありません。吸入して、アレルギー反応をおこすこともありません。また外断熱の建築は、保温の機能も高くて、健康にもよく、高血圧や脳卒中の予防にもよいことがわかってきています。まだ外断熱は日本においては主流ではありませんが、外断熱にとりくんでいる工務店や建設会社もいくつかあります。
激しいかゆみがおこるシックハウス症候群
シックハウスの皮膚症状の特徴はさまざまです。シックハウス症候群における皮膚搔痒症は、しばしば皮膚炎のような皮膚症状は出ません。皮膚炎としての湿疹や炎症性変化がでないまま、患者は、皮膚のカユミに苦しみます。搔痒感が激しく全身にあらわれます。頭のカユミ、顔のカユミ、背中、胸、手足、腹部といったあちこちに突然に強烈な掻痒感が発生します。カユミのためにかきむしるのですが、いっこうにカユミは解消しません。時に狂ったようにかきむしります。その結果、皮膚が裂傷して、出血したりします。これは空気中のホルムアルデヒドや石油系揮発性物質を吸い込んだことでおこる全身症状なのです。新築の家に転居した数日後から症状は始まります。家の中にいる限り、断続的なカユミ発作が出ます。家の外に出ると症状は消えてしまいます。
ホルムアルデヒドによるアレルギー反応
シックハウス症候群で最近みられるものとしては、自宅ではなく、その近隣の家の新築やサイディングへの吹き付けなどの工事により発生したシンナー系、ホルムアルデヒド系の石油系揮発物質が原因となるケースです。近隣の化学物質が自宅の中に入り込んできて、症状を起こすのです。最近の住宅は二十四時間換気のシステムを導入していることが多いので、近隣で発生した揮発性物質がどんどん侵入してくるのです。近隣から侵入してくる場合は、空気清浄機を使って原因物質を除去することで対処するしかありません。もちろん新築の場合も空気清浄機により常時、空気中の化学物質を除去し続けることで症状をおさえることができます。これら有害物質は脳機能を阻害し、子供に発達障害を起こしたりするのです。