耳鳴りの鍼灸と漢方の治療

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鍼灸治療で耳鳴りが改善することがある

鍼灸治療でも、耳鳴りが改善することがあるのをご存知でしょうか。鍼灸師の中には、耳鳴り、難聴、めまいなどの耳鼻科疾患を専門にしている治療家もいます。鍼灸医学の背景にあるのは、東洋医学の基本である気血水の調節という考え方です。気血水のバランスを整えるために、東洋医学は経穴(つぼ)に鍼灸治療を施します。ハリも、灸も、経穴に刺激を与えるためのツールです。これが難病に効果的であるために、西洋医学で完治しない病気の多くは、鍼灸による治療で改善していくといわれています。鍼灸師のところに患者が出向く必要があります。耳鼻科通院しても改善せず、耳鳴りに悩んでいる人は、あきらめる前に、鍼灸治療も試す価値があります。鍼灸治療院の情報を集めて、評判の良いところを探すことをおすすめします。できるだけ大きな施設で複数の鍼灸師がいて何年も前から開業している施設が信頼性が高いでしょう。

耳鳴りを治す経穴は複数あり

耳鳴りを治す経穴は複数あります。これらは健康雑誌などで紹介されていたりします。鍼灸治療の治し方ではこの経穴に針治療を施して治していくのです。確かにこの方法で改善する人もいますし、西洋医学だけに頼って治すよりも鍼灸や漢方を使うほうが、治る確率が高いというのも事実だといえます。もっと簡単な治し方は、ヨガなどで身体のゆがみを自分で解消することで自律神経のバランスを回復して、自己の自然治癒力を引き出して、症状を緩和していく治し方です。この方法のメリットは、通院の手間がかからないし、漢方や鍼灸のようにお金がかかることもありません。そして、自宅で簡単に一人で行える方法です。なかなか治らない耳鳴りでお困りの人は、このような治し方を試してみてはいかがでしょうか。

釣藤散は耳鳴りに昔から使われてきた漢方薬

釣藤散は、耳鳴り、めまい、肩こりに昔から使われてきた漢方薬です。釣藤鈎という植物性生薬を主成分にしており、それに後10種類の生薬を配合している処方です。慢性頭痛や頭重、のぼせ、高血圧にも使われてきましたが、最近では、認知症BPSDにも有用性があるということがわかってきています。漢方は耳鳴りの患者さんがくると、この釣藤散を一度は使ってみることになります。耳鳴りを治す漢方処方は複数あるので、あくまでもそれは一つの選択肢でしかありませんが。どちらかといえば、高血圧の傾向がある患者にあっているのが釣藤散です。釣藤散は、中国の南宋時代に「本事方」という書物に出ている処方です。「肝蕨頭暈を治し、頭目を清す」(感情をコントロールしている「肝」の働きが過剰になりイライラし、めまいがおこるものを治す、そして目と頭をすっきりとさせる)と記載されています。日本でも江戸末期から明治にかけて活躍した浅田宗伯が、自著「方函口訣」(ほうかんくけつ)のなかで「癇症の人、気逆はなはだしく、頭痛、眩暈し、あるいは肩背強急、眼目赤く、心気鬱塞する者を治す」と記述しています。つまり、「肝の働きがたかぶって怒りっぽくなり、頭痛やめまいを感じたり、肩や背中がこわばって、目が充血して鬱々とした人を治す」と解説をしています。釣藤鈎は、アカネ科の植物で、カギカズラ、トウカギカズラなどの植物のトゲをその原料とする生薬です。

水毒から起こる耳鳴りには苓桂朮甘湯

日本人の耳鳴りに多いタイプが水毒つまり水分代謝の停滞が原因でおこる上半身のむくみが引き起こす耳鳴りです。この症状にはめまい感を伴うことが多く、めまいと耳鳴りが併存するタイプの場合は、昔から苓桂朮甘湯(りょうけいじゅっかんとう)が使用されてきました。

4種類の生薬を配合した体内の水滞に働きかけてめまいや耳鳴りを改善する漢方薬【生漢煎 苓桂朮甘湯】

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