ハチの子と耳鳴り

耳鳴りや難聴などに漢方ではハチの子を使います16世紀後半に書かれた漢方の古典『本草綱目』に、「蜂の子は、全身を若返らせる」と書かれています。滋養強壮に広く使える動物生薬だったのです。漢方においては、蜂の子は特に耳に関連するトラブルによく効能をあらわすとされ、耳鳴り、難聴、耳からくるめまいなどに広く用いられてきました。

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ハチの子は漢方の薬膳などにも応用

日本でも長寿で知られる長野県や岐阜県、山梨県などでは、昔から、蜂の子を滋養によい食材として伝統的に食べてきました。蜂の子は耳鳴りだけではなく、長寿、アンチエイジングにも役立つ食材なのです。そして、耳に関連するトラブルに特によいとされています。日本では東邦大学医療センターで、ハチの子の健康への効果を確認する試験が行われ、メニエル病、難聴、耳鳴り、めまいなどに、二ヶ月の服用で、67パーセントに改善の効果が得られたとの研究報告が出されています。このように、ハチの子のサプリメントで、耳鳴りやめまい、難聴が改善したという事例は、耳鼻科学会などの医学会でも報告されているのです。西洋医学での一般的な治療では、なかなか改善が難しいとされる、耳鳴りや難聴、めまいに、東洋医学の叡智として伝承されてきた、ハチの子を試してみる価値はあります。

蜂の子と耳鳴り

蜂の子を難聴、耳鳴り、めまいの患者さんに服用してもらって、服用後の効果を確かめた実験は日本にもたくさんありますが、海外では、中国の北京医科大学と天津医科大学の共同実験が有名です。男性24人と女性8人のメニエル病の患者さんと、更年期障害のために耳鳴り、めまいを訴える15人の患者さんを対象に行われた臨床研究です。患者さんに、ハチの子乾燥粉末50mgを一日三回、一ヵ月服用してもらいました。この結果として、めまいは、服用三日後に70パーセントの患者で消えています。耳鳴りは、服用一ヵ月後で75パーセントの患者で全快しています。難聴についても67パーセントで改善を認めたのです。この治癒率はかなり高いものです。
耳鳴りでいえば、100人のうち75人は、ハチノコサプリで治るということです。漢方の古典『本草綱目』では、「若返りの効果がある」とされているハチの子ですが、アミノ酸が豊富に含まれており、これが耳の機能を高めると考えられています。また、カルシウム、マグネシウム、セレン、亜鉛なども豊富です。

滋養強壮によいハチの子サプリメント

耳鳴りやめまい、難聴も軽減できる可能性があるということです。そして、滋養強壮の働きは、体の全体にも元気や活力を与えてくれるのです。日本でも漢方を専門とする医師の中には、ハチの子を使う医師が増えています。しかし日本ではまだ健康食品の位置づけなので、病院での処方は自由診療でないと難しいところも多く、一般的にはサプリメントとして入手します。蜂の子のアンチエイジング効果は東洋医学では昔から知られていたのであり、はちのこ(蜂の子)は、クロスズメバチなどの蜂の幼虫です。ミツバチの幼虫を使う場合もありますが、効能は同じです。
日本では長野県・宮崎県・岐阜県・静岡県・山梨県・栃木県などの地域で滋養強壮の食材として古くから伝統的な食材として、伝えられてきました。約二千年前にまとめられたとされる『神農本草経』は、中国の漢方の古典の一つであり、今でも使われている漢方の重要な書物です。『神農本草経』はと並んで有名なものに、『傷寒論』がありますが、処方を詳しくまとめている『傷寒論』と対象的に、『神農本草経』は、生薬を個別に、薬効と安全性別に3つのランクに分けて掲載しています。

神農本草経にもハチの子が収載

最上のランクは上品(じょうほん)または上薬(じょうやく)と呼ばれ、長期服用して長寿を実現するものです。生命力を養い元気を増し、不老長寿をもたらすとされます。薬用ニンジンや霊茸や冬虫夏草などもこの部類に入ります。次のランクは、中品(ちゅうほん)または中薬(ちゅうやく)です。これは、病を防ぎ体力を補うが、使い方により毒性が出るものです。最後は、下品(げほん)または下薬(げやく)です。これは病を治すためのもので長期間の服用は避けるべき薬です。『神農本草経』は、「蜂子(ホウシ)(蜂の子)」を「上品」と定めています。つまり、長年にわたり飲み続けて、不老長寿をもたらす生薬に分類されているのです。効能として、「頭痛を治す」、「衰弱している人や内臓の機能に障害を受けている人の元気を補う」、「長期間の服用で、皮膚に光沢が出て、顔色がよくなる」、「年齢を重ねても老衰しなくなる」。まさにアンチエイジングのことを書いていることがわかります。ハチノコはアンチエイジングを実現させる動物生薬だったのです。日本では、岐阜大学医学部附属病院の青木光広臨床准教授のグループが耳鳴りを伴う難聴患者を対象としたヒト試験を行い、耳鳴りによる不安や憂鬱感といった抑うつ症状、および聴こえにくさが改善されたことを耳鼻科学会などの医学会において、正式に報告しています。

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