耳鳴りの改善はアンチエイジングにつながる

耳は老化と密接に関連していると東洋医学では考えられてきました。漢方医学で使われるハチの子も八味地黄丸も耳鳴りに効果がある生薬です。蜂の子は、単独で、耳鳴りを含めた老化現象に対し予防的に働き、アンチエイジングにつながる成分です。八味丸つまり、八味地黄色丸(はちみじおうがん)も、老化全般を予防する漢方として江戸時代から広く用いられてきた処方です。

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アンチエイジング漢方の代表が八味地黄丸と牛車腎気丸

蜂の子は、単独の生薬でつくられ、クロスズメバチやミツバチなどの幼虫を原材料とした生薬です。主に民間療法として使われています。これに対して、漢方医学の処方で、八味地黄丸は、八種類の生薬を組み合わせたものです。八種類とは、山薬(さんやく)、地黄(じおう)、附子(ぶし)、桂皮(けいひ)、山茱萸(さんしゅゆ)、沢潟(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)です。この生薬の作用で、夜間の頻尿や、腰痛、白内障などのかすみ目、下肢のしびれ、冷え、耳鳴りなどにも改善作用があります。また、この八種類にさらに、牛膝(ごしつ)、車前(しゃぜんし)という生薬を加えた、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、この効能にいっそうの強化がはかられています。むくみをとることにおいてはこちらのほうが強力です。八味地黄丸も、牛車腎気丸も、耳鳴りよりも、むしろ、前立腺肥大症や過敏性膀胱が原因の夜間の頻尿の改善に多用されています。これらの漢方処方は、老人のかすみ目、腰痛、むくみ、頻尿、耳鳴りなどに昔から使われてきました。滋養強壮を目的とした漢方薬です。ハチノコも滋養強壮に使われる点では似ています。ハチノコ(蜂の子)は、漢方の古典『本草綱目』にも、全身の若返りに良い生薬として収載され、この古典は16世紀後半にまとめられたものです。それだけ古くから、ハチノコの若返りの効能が知られていたということです。

滋養強壮に使うすっぽん

ハチノコと同じく、すっぽんも滋養強壮に使われます。すっぽんの作用は中医学では「滋陰補賢作用」と呼ばれています。老化防止、精力、体力をつけるのに使います。また、精神不安、イライラ、不眠にもよく処方されます。耳鳴りは中医学では腎の気の欠乏状態とも関連しているとされ、すっぽんのような補腎の生薬はしばしば使われているのです。土鼈甲というのが、すっぽんの生薬名です。生薬としての作用を発揮するスッポンを、今では手軽なサプリメントにして摂取することができるようになっています。すっぽんは、もともと滋養強壮の食材として活用されてきました。日本では江戸時代にすっぽん料理が庶民に広まり、男女のアンチエイジングの食材として活用されてきました。最近では、すっぽんに含まれる豊富なコラーゲン、アミノ酸の効果が注目を集めています。これは滋養強壮の目的で、すっぽんのサプリメントを摂取していた女性が、美肌にもなっていくことから、着目されるようになりました。ちょうど、コラーゲンが美肌によいとの認識が広まった時期でもあり、コラーゲン豊富なスッポンに注目が集まったのです。

滋養が高く元気回復の食材であるスッポンの成分

すっぽんは美肌効果のほか、疲労を回復させたり、ストレスによる体力の低下などを補ったりするものです。サプリメントとしてスッポンを摂取する場合は、毎日続けることが効果を早く出すためのポイントです。毎日飲むものだから品質には気を使う必要があります。国産のすっぽんを選べば安心です。国産品は清らかな水と厳選した餌で育てられます。一方、外国産の養殖品の場合、心配なのは水質汚染です。薬物や公害などの悪影響がないとはいいきれません。すっぽんのエキスを美容液に使っている商品も出ています。美容液は、皮膚から成分を浸透させることで、その効果を発揮します。皮膚というのはさまざまな薬品や成分を浸透させ吸収することができる機能をもっています。例えば、心臓病の薬で、皮膚に貼付するタイプの薬もあるほどです。薬剤の成分が皮膚をしっかりと通過して体内に浸透し、効果を発揮します。皮膚にぬるもの、美容液、化粧品などは、実は健康に大きな影響があるのです。すっぽんの美容液も同じ考え方で研究されたのです。

すっぽんの作用は中医学では「滋陰補賢作用」

漢方処方は、二千年前のシナに起源を有しますが、その中にもすっぽんが含まれています。平安時代に丹波康頼が『医心方』を著し、漢方医学は、日本の貴族の健康管理に役立ってきました。その後、漢方として庶民に広まり、江戸時代には庶民のアンチエイジングにも漢方が活用されてきました。すっぽんもまたその生薬の一つでした。漢方薬は数種類の薬草や動物性の生薬を組み合わせて処方とし、これを煎じて服用します。それぞれ細かい使用基準が定められており、その中には老化防止や精力増強、滋養強壮などに使われる漢方処方もたくさんあります。その多くは現在でも漢方処方として使用されているものです。動物性の生薬には海馬(タツノオトシゴ)や、反鼻(マムシ)などがあります。スッポンもまた、動物性生薬の一種として活用されてきました。スッポンの甲羅を乾燥させたものを土鼈甲(どべっこう)といい、他の生薬とあわせて煎じます。
土鼈甲(どべっこう)は、鼈甲煎丸、鼈甲散、延年半夏湯といった漢方処方に今でも使用されています。主な効能は、強壮・強精、疲労回復、老化防止、貧血改善、精神安定とされています。スッポンは「陰分を養い、血熱を冷まし、また気血を補い、気虚を治す」と古典には記載されています。

スッポンは栄養価が高い動物

生薬として使われてきたその歴史は古く、日本では、江戸時代に庶民のあいだにもすっぽん料理が広まり、滋養強壮の食物として珍重されてきました。スッポンを丸ごと粉末にし成分分析すると、人の体内で作られない8種類の必須アミノ酸を含め、20種類のアミノ酸をすべて含有していることがわかっています。良質タンパク、ビタミンB1、B2、E、必須アミノ酸、必須脂肪酸(不飽和脂肪酸)、鉄分、カルシウム、ミネラル、コラーゲンなどを豊富に含みます。女性の病気にもすっぽんは漢方処方として活用されてきました。更年期障害とその関連症状を含め、血の道症といわれる生理痛、月経不順、月経過多の改善にも処方されてきました。手足の冷え、のぼせ、頭痛、耳鳴り、貧血、肩こり、などに使われる漢方処方の中には、すっぽんを原料に含むものがあります。漢方医学の立場からアンチエイジングによい食材は、「血」を養う、「精」を補い「腎」を養う、という食材ということになりますが、これはまさに「すっぽん」のことです。中医学ではスッポンを鼈(ベツ)と呼び、滋陰補腎の効能とされます。必要な血や精などの滋養物質を補って滋養強壮します。疲れやストレスなどからおこる熱やほてりを抑えます。五臓六腑の腎に作用することで、人の生殖・免疫・髪・歯・骨・腰・下肢・脳・髄の働きを健やかにします。すっぽんの作用をサプリメントのかたちで手軽に摂取できるようになりましたが、原料として国産の養殖すっぽんを使用しているものをおすすめします。

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