うつ病と低血圧と脳機能の関係

脳機能が低下した状態になりやすい病気のひとつが、うつ病です。低血圧の患者は、しばしば、うつ病と誤診されます。これは、うつ病の診断基準とされる諸項目の多くが、低血圧患者の諸症状と重なることが原因です。これは、低血圧とうつ病が同じ病気であるというわけではなく、診断に用いる基準が重なっているだけです。ところが、低血圧の患者に、うつ病の薬を処方すると、ますます血圧は下がってしまいます。これは抗うつ薬の多くは、副作用として血圧をさげるからです。

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うつ状態や低血圧が解消され脳機能も増進する

不心得な医師にかかれば、血圧が下がったことに気がつかないまま、いっそう症状が重くなったと勘違いされてしまい、ますますたくさんのうつ病の薬を処方されてしまうこともあります。その結果、ますます副作用がひどくなるのです。低血圧を改善するには、サプリメントでも入手できるコエンザイムQ10や、漢方薬の十全大補湯、補中益気湯、人参養栄湯などの薬用人参(高麗人参)を含む処方を用いることが多いです。これら漢方薬は気力を増し、うつ状態を改善させることも期待されますが、その結果として、脳機能が向上したように見えることも多いのです。

運動療法は脳機能を向上させ低血圧も改善させる

運動療法は、うつ病にも低血圧にも、そして脳機能低下にも、たいへん有益な効果があることがわかっています。筋力をつけるようなトレーニングでも、有酸素運動でもどちらでも一定の効果をあげることがわかっています。特に筋力トレーニングでは、マイオカインという、筋肉から出る30種を超える物質の働きで、うつ状態の改善、低血圧の改善、そして脳機能の向上までも期待できるのです。コエンザイムQ10は健康食品やサプリメントとして広く用いられていて化粧品にも配合されています。しかし、本来は強心剤として使われてきた歴史があります。つまり、低血圧に対しては、それを改善させる方向に働くものです。

コエンザイムQ10は研究が進んで、アンチエイジングに大きく役立つ健康成分であることもわかってきています。細胞を活性化させて、若返らせるのです。このため化粧品やサプリメントに広く応用されています。低血圧症状などで困る場合、まずはコエンザイムQ10をサプリメントとして摂取すること一つの方法です。その結果、うつ状態の解消や低血圧の解消、脳機能の改善ほか、体調が良くなる可能性もあります。アンチエイジング効果もあるので、健康食品として継続的に飲んでもさしつかえないものです。

薬用人参、コエンザイムQ10など

漢方薬では薬用人参つまり高麗人参が低血圧の解消には役立ちます。このため、薬用人参を含む漢方処方である十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、人参湯(にんじんとう)などが使われます。これらは漢方専門医のほか、薬局でも入手できます。コエンザイムQ10は、タバコの葉などからでも抽出できるためタバコ農家にとっても健康に悪いタバコよりも健康によいコエンザイムQ10を生産することは社会的にも有益であるといえるのです。薬用ニンジンとは、生薬のニンジンであり、野菜のニンジンではありません。薬用人参は、オタネジンジンとも呼ばれる植物です。六年から十年を経過したその生薬としての根を使用します。これが低血圧の人に非常によいとされています。

低血圧の人は朝が起きられない、冷え性などの共通した症状があります。薬用人参は、低血圧が改善して、冷え性が改善して、それに関連したさまざまな症状、疲れやすさ、めまい、倦怠感などがとれていきます。ドリンク剤にはこの薬用人参が使用されています。元気になるのは、そのためなのです。意欲を増進させる働きもあることが知られています。ただし、高血圧の人には、血圧をあげてしまうので、薬用人参は慎重に使うべきです。場合によっては血圧があがりすぎることもあるからです。血圧測定を家庭でもしっかりと行いながら、薬用人参を活用するようにしましょう。薬用人参は高麗人参とも呼ばれています。また、にんにくも低血圧によいとされています。人参養栄湯や人参湯などの漢方処方にも使われています。これらは、うつ状態の解消と低血圧の解消、どちらにも効果がある漢方処方であり、結果的に脳機能の向上も期待されるのです。漢方を処方するドクターも増えていますので、漢方外来などで相談するのもよい方法です。

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