睡眠が不足すると脳機能は低下します。睡眠は、脳だけでなく全身のメインテナンスのために重要です。成長ホルモンは、眠り始めに分泌が増大し、夜間に細胞の修復などの若返りを行っています。肉体の老化が進むのは、成長ホルモンの分泌が低下するからであり、不眠のために睡眠が短くなると、成長ホルモンも影響を受けます。
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睡眠不足は成長ホルモンの低下をまねく
成長ホルモンについては、筋肉を鍛えると分泌が促進されることがわかっており、不眠傾向のある人ほど、日中に筋肉を鍛えて、成長ホルモンの分泌を促すことが重要となります。加齢と睡眠障害があると、睡眠が浅くなって、成長ホルモンの分泌が減少しますが、運動の習慣があり、筋肉を日々、鍛えることを習慣化している人の場合は、運動の効果によって成長ホルモンの分泌が促されて、補われます。その意味でも、睡眠障害がある人ほど、運動が大切になります。特に筋肉を鍛える、筋トレが重要です。スクワットやダンベル体操やミニトランポリンなど、さまざまな工夫で運動習慣をつくることをお勧めします。
睡眠中にコルチゾールが分泌され脂肪をエネルギーに変える
もうひとつの重要なホルモンはコルチゾールです。このホルモンも睡眠中に分泌が増大し、体内に蓄えられた脂肪をエネルギーに変えることで若さを保ちます。深夜三時ぐらいから分泌が増えてくるという性質があります。とりわけ午前三時から五時ぐらいまでの時間帯は睡眠をとっていたほうがいい時間です。この時間にコルチゾールがもっとも多く分泌されるからです。若い人では、七時間、八時間と眠る結果、午前三時ぐらいから午前七時ぐらいの目覚めまで、コルチゾールがしっかりと分泌されて、代謝を促進します。
早朝に覚醒してしまうことでコルチゾールは分泌不十分に
これが60代になると早朝に起きてしまうことで分泌が不十分になるのです。そこで、60代以降では、就寝時刻を工夫し、午前三時ぐらいから五時ぐらいまで、確実に眠っているようにするほうがいいことになります。あまり早い時間から就寝することは避けるほうが無難です。また、日中に筋トレをして筋肉を鍛えておくことは、内分泌を整える意味でも有益です。特に筋肉を鍛えることでさまざまなホルモン様物質の分泌は高まり、アンチエイジングや病気予防に効果があることがわかってきています。脳機能を高めるには、インスリンの分泌も重要です。インスリンは脳内では、脳神経の修復や再生に重要な役目を担っていて、低インスリン状態になるとアルツハイマーなどの認知症のリスクが高まるのではないかと言われているのです。低糖質食などに偏るとインスリンが低下し、脳に有害となる可能性もあるのです。